Meister

ジャパン・レザー・グッズ・マイスター受賞者一覧

  • 第1回 鞄部門 
    土屋 達男

    仕事を好きだと思える、それが一番大切なこと

    16歳の時に技術を身に付けたいと思い、革職人になりました。見習い期間は約7年、住み込みで修業を続け、職人歴は50年以上になります。職人になってから一番嬉しかったことは、一からランドセルを作り、それを親戚にプレゼントしたことです。初めての商品だったので、今でも強く印象に残っています。今後はマイスターとして、後継者の育成に力を入れていきたいと考えています。今の時代は機械化が進んでいますが、基礎をしっかりと理解していないと技術は身に付きません。技術の伝承を行っていくことで、今後の指導者の育成にも繋がると思います。また、昔は仲間同士で教え合うことで様々な技術を身に付けていましたが、今は繋がりが少ない時代です。マイスターの講習会に訪れた人同士、どんどん繋がりを持って、技術の向上や業界の発展に繋げてほしいです。これから革職人になる人、マイスターを目指す人には、仕事を好きでいてほしいと思います。何事も好きでいなければ続きません。自分の仕事に興味を持って、革職人という道を突き進んでほしいです。

  • 第1回 鞄部門 
    石井 種次郎

    日々自分を追い込める環境に身を置いているからこそ、より良い鞄がつくれる

    職人になったきっかけは16歳の時、鞄職人だったおじに勧められたことです。そこから65年間、自分も鞄職人としてやってきました。途中何度か辞めたいと思ったこともありましたが、この歳になっても続けていられるのは「ものづくり」が好きだったからだと思います。常に作ることを考えていて、夢に出てくることもありました。日々自分を追い込んでいける環境に身を置いているからこそ、より良い製品を作れるのではないかと思います。正直マイスターに選ばれたことも実感が湧いていません。ただ後進の育成に関しては必要だと考えています。特に特殊な製品などに関しては技術を伝承しなければ、無くなってしまいます。私は鞄を作る時は、常に美的感覚を持ち、さらに良いものを作りたいと考えています。これから職人を目指す人は飽きずに続けていくことが大切だと思います。好きなことを飽きずに続けて、職人として生きていけることは、容易ではありませんが幸せなことです。年数は掛かりますが、自分が培ってきた経験がきっと自分を支えてくれます。

  • 第1回 鞄部門 
    矢田 晶士

    基礎の先に個性がある、基礎ができてこそ次の段階へと進む

    自分の父親が鞄職人だったため、子どものころに手伝いをしていたことが職人になったきっかけです。一度は全く違う職に就いたのですが、やはり「ものづくり」が好きで職人の道へと進みました。私は、職人にとって『経験』というものが何より大切だと思っています。今回マイスターに選ばれたことも、自分の今までの経験と、それを基に作ってきた作品を評価して頂いたのだと思います。一つのことしか知らないと、その中でしか表現できませんが、「知っている」「見たことがある」「やったことがある」というたくさんの経験があれば作る物の幅も広がります。素材となる革のことだけではなく、鞄やハンドバッグ、小物など、一つに囚われず様々な作り方を学ぶことも、「ものづくり」における応用力を高めてくれます。職人さんの中には、自分なりの作品を作りたいという方も多いと思いますが、基礎が確実にできて初めて個性がついてくるものだと思います。ですから、若い職人さんには、まず基礎を作ってもらいたいです。基本ができて初めてその先に進めます。また、作ることだけではなく見る目を養い、良いものを良いと思えるように自分のセンスを磨いてもらいたいと思います。